会社はなぜこんなにも残酷で冷たいのか? — 中小企業が社員に冷たくならざるを得ない理由

会社という組織は、社員一人ひとりに向き合うと、ここまで残酷で冷たくなれるものなのかと思う。家族以上に多くの時間を注ぎ込んで働いているのに、返ってくる報酬は少なく、慰めや励ましの言葉もほとんどない。
なぜ会社はこんなにも冷たいのだろう。経営陣は社員のぬるさや成果不足に不満を漏らし、社員は機械の部品のように、消耗品のように扱われていると感じて寂しさを抱える。同じ建物の中で「家族」という言葉を口にしながら、実際にはまったく別の世界を生きている。
組織と個人が一緒に成長する理想的な会社。誰もが夢見るが、現実ではそう簡単には見つからない。特に中小企業では、ユニコーンに出会うくらいの確率だ。
結局、この大きなズレは、それぞれの「存在理由」が違うからだ。
中小企業にとっては、ひとことで言えば**「生き残り」**がかかっている。大企業のように短期・中期・長期の事業目標があり、それを支える組織と資金があるなら話は違うが、中小企業の多くはそうしたものを持っていない。そもそも「事業計画」そのものがない中小企業すら珍しくない。
オーナーの資金や少額の投資で立ち上げた法人は、その瞬間から資金繰りに追われ、ひたすら売上だけを追いかける。一般的に私たちが思い描く「企業」というより、商品やサービスを売って利益を出さなければ生き残れない集団に近い。
実際に、10年、20年と健全に続いていた会社が、あっという間に崩れて、社員の給料さえ払えずバラバラになっていく光景を何度も見てきた。資金繰りが苦しくなると、外部投資の道がない中小企業は金融機関の力を借りるしかない。そして売上が落ちたり赤字が出始めたりすると、にこやかに挨拶していた金融機関の担当者が、一瞬で冥界の使いのような存在になる。
この本音は、経理や経営の仕事をしている人なら肌で感じるだろうが、営業・技術・生産・品質など、他の職種の社員には知る由もない。
学生時代に置き換えると、もっと分かりやすい。
学生は普通、家庭の収入や支出を気にしない。親の言う通りに一生懸命勉強すれば十分だと思っている。だが、自分がどれだけ勉強を頑張っても、家計を支える人が一人失業しただけで家庭の経済が崩れれば、すべてが生存の問題に変わる。会社も同じだ。社員がどれだけ頑張っても、経営陣が直面している現実はまったく違う重さを背負っている。
経営陣がこうした事情を社員に隠すのにも理由がある。知られれば退職者が続出するのではないかという恐れがあるからだ。
だからこそ、社員が昇給、職場環境の改善、キャリア教育など、ごく正当な要求をしても、中小企業はすでに「生き残り」という一語に思考のすべてが引っ張られてしまっているので、こう考えてしまう。「そこまでしてやる必要があるのか。会社の状況だって良くないのに」――こうした考え方が、経営陣はもちろん管理部門にまで根深く染みついていて、しまいにはそれを美徳だとさえ思っている。
社員の立場からすれば、正当な要求をしただけなのに、真冬の冷たい風よりも冷たい空気を浴びせられることになる。
人事責任者としては、本当に難しい立場だ。
良い人材が見えていて、きちんと育成し、適切に報いることで組織を強くしていけることも分かっている。エース社員の離職を止める方法も見えている。だが会社の状況を見れば、「今すぐ」それをする余裕がない。そして、その事情を社員に説明することすらできない立場だから、もどかしい瞬間が一度や二度ではない。
見た目は共同体でも、実態は自分の身は自分で守る世界だ。こうした構造の中で、会社を自分の居場所だと思ってきた社員ほど、深い虚しさを感じる。
では、私たちはどうすればいいのか。
会社の冷たさに傷ついて無気力になる前に、まずこの生態系をありのまま受け止める必要がある。漠然と分かってほしいと期待する気持ちは少しずつ手放し、そのエネルギーを自分の価値を上げることに使うほうが、傷つかずに済む。
ともあれ、今の私たちはこの会社に身を置き、好きでも嫌いでも生活費をもらいながら通っている。今日一日に集中して耐えつつ、同時に未来への備えもしておく。
仕事のスキルを高めること、業務の幅を広げて職務経歴書に一つずつ積み上げること、踏ん張って年数を重ねたうえで、もっと良い居場所へ移ること。会社が自分のために何かしてくれるのを待つより、自分が自分のために動くほうがずっと早い。
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